第187章

「羽澤さん!」

 島宮奈々未は驚愕のあまり言葉を失い、羽澤哲也を見つめた。彼の背中には深々とナイフが突き刺さり、噴き出した鮮血が瞬く間に背中全体を赤く染め上げていく。

 女が乱暴にナイフを引き抜くと、それに伴って生々しい血飛沫が舞った。羽澤哲也の体はそのまま島宮奈々未の目の前へと崩れ落ち、彼女が咄嗟に伸ばした手も空しく、彼を支えきれなかった。

「早く逃げろ!」

 羽澤哲也は声を振り絞り、女の足首を必死に掴んだ。

 もし彼が身を挺してナイフを受けてくれていなければ、島宮奈々未はとうに逃げ出していたかもしれない。だが今となっては、自分だけ逃げることなどできるはずもなかった。

 この島...

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